アニメ映画『聲の形』(京都アニメーション制作)は、いじめや障害を題材にした作品として高く評価される一方で、「ひどい」「気持ち悪い」といった否定的な感想も見受けられます。
この記事では、なぜそのような意見が出るのか、その一方で称賛される理由とは何かを整理しながら、作品全体の魅力と課題を考察します。
「ひどい」「気持ち悪い」と感じる理由とは?

① いじめ描写がリアルすぎて辛い
主人公・石田将也が聴覚障害のある少女・西宮硝子に対して行ったいじめが、極めて生々しく描写されており、視聴者によっては「観ていられない」と感じるほどの内容になっています。
② 被害者と加害者の描き方に賛否
将也が物語の中で「贖罪」を試みる一方で、「いじめをした側が主役なのは不快」といった声もあります。また、硝子がなかなか感情を表に出さないことに対し、「もどかしい」「共感できない」と感じる人も。
③ キャラクターの言動が不快に見える場面も
植野や川井など、物語に登場する一部キャラの態度や言葉づかいが「見ていて気持ち悪い」と感じる一因となっているようです。
一方で、評価されている点も多い
① 重いテーマに正面から向き合った挑戦作
『聲の形』は、アニメではなかなか取り扱われにくい「いじめ」「障害」「孤独」といったテーマを、真正面から描いた作品です。その誠実さは、多くの観客から評価されています。
② 映像・音の演出が秀逸
京都アニメーションらしい繊細な作画はもちろん、音をテーマにした演出も秀逸。聴覚障害を持つ硝子の視点を再現するために「無音」「こもった音」「言葉が聞き取りづらい」などの工夫が凝らされています。
③ “再生”と“許し”が物語の核
将也と硝子が互いに向き合い、過去と向き合いながら自分を許していく過程は、観る人に深い感動を与える要素となっています。
評価が分かれるのは「感情移入」の強さゆえ
この作品が賛否を呼ぶ最大の理由は、「観る人によって感情移入の対象が変わる」からです。
- 硝子に共感する人は、将也の変化を受け入れにくい
- 将也に感情移入する人は、彼の苦悩を「わかる」と思える
- いじめや孤独を経験した人は、過去を重ねて強い感情を揺さぶられる
つまり、作品の完成度が高いからこそ、「好き」「嫌い」が明確に分かれるのです。
管理人の見解:心に残る作品だからこそ意見が割れる
『聲の形』は、単なる感動ポルノではなく、誰もが“過ち”や“孤独”を抱えて生きていることを静かに描き出した名作です。確かに見る人によっては不快感を覚える場面もありますが、それは作品がリアルである証拠でもあります。
「気持ち悪い」「ひどい」と感じたなら、それはあなたの感性が作品の痛みをきちんと受け取ったということ。逆に「感動した」と思った人もまた、きっと何かを乗り越えてきたのでしょう。
まとめ:賛否があるからこそ、語り継がれる作品に
『聲の形』は、観る人の価値観や過去を強く反映させる力を持つ作品です。「ひどい」「気持ち悪い」と感じた人も、「感動した」と涙した人も、どちらも正しい受け取り方です。
大切なのは、「自分の感想を否定しない」こと。そして、誰かの感じ方も尊重することです。